皮膚腫瘍治療の進め方
診察
担当医があなたを診察し、腫瘍の出現時期やその後の経過などを聞かせていただきます。続いて病変部を詳しく観察します。肉眼だけでなく、ダーモスコピーという拡大鏡を用いて病変部を拡大して観察することで特徴的な所見が確認でき、診断に有用な情報を得ることできます。
検査
必要に応じて皮膚生検や体表超音波エコーなどの検査を行います。
- 皮膚生検
- 皮膚を約3mm程小さく採取して、病理組織学的検査を行います。病理組織学的検査とは、採取した病変部から標本を作製し、それを顕微鏡で観察して診断を確定するための検査です。悪性のがんであれば進行度なども評価します。
- 体表超音波エコー
- 病変部にプローブを当てるだけの非侵襲的な検査です。腫瘍の性状や大きさ、深さ、周囲の血管や筋肉などとの関係を知ることができ、手術を安全に行うために大変有用な検査です。腫瘍内の血流の有無を評価することで、良性/悪性との鑑別がある程度できるため診断の精度を上げることができます。
治療
病気の種類やあなたの身体の状態、さらに検査結果を総合して、あなたの病気にとって最もよい治療方法を決定します。
手術
良性腫瘍の場合は、腫瘍を辺縁ぎりぎりで切除し、単純縫縮します。皮膚がんの場合は、腫瘍の辺縁からある程度離して、大きめに切除します。生じた皮膚欠損部が小さければ単純縫縮します。欠損部が大きい場合には植皮術あるいは皮弁形成術を行います。顔面では整容的な問題も考慮し、なるべくキズが目立たなくなるように配慮しています。
放射線治療
- ケロイドの場合には、必要に応じて手術後に放射線治療を行います。放射線治療は総合病院の放射線科医師と連携をとり協同して行います。
- 手術後は、定期的に診察し、創部の状態をチェックします。良性腫瘍の場合には、できるだけキズをきれいにするためにテープ固定を術後1~3か月行います。皮膚がんの場合には、キズをきれいにすることはもちろんのこと、再発が生じていないか定期的にチェックします。
手術当日の流れ
- 予約時間までに受付を済ませておいていただきます。通常は着替える必要はありませんが、手術部位によっては更衣スペースで手術着に更衣をしていただき、キャップをつけていただきます(手術着、キャップ、スリッパなどは手術室へ準備しております)。
- 手術前にモニターをつけさせていただきます。必要時に点滴をとらせていただくこともあります。血圧などが測定できたら手術開始となります。
手術が始まったらシーツがかかります。顔の治療の場合は息苦しくないように配慮しますので、遠慮なく教えてください。
シーツがかかったら局所麻酔をします。手術部位に注射するのでチクッと痛みます。麻酔が効くまで時間をおきます(約3〜5分間)。痛みを感じなくなったら手術を始めます。手術の途中でも、痛みを感じたら痛み止めを追加しますので、痛みは我慢せずに教えて下さい。手術が終わったら血圧など測定し、気分不良がないことを確認したら待合室に移動し、会計が終わるまでお待ちいただきます。その間、次回の診察日や手術部位の消毒についての説明をさせて頂きます。
看護師によるサポート体制
- 私たち看護師は、手術決定後の術前オリエンテーションから関わらせていただきます。
- 医師からの説明では分からなかった事や、もう一度聞きたい事、不安に思っている事など、看護師に聞いてください。私たちで充分な返答が難しい場合には、医師に再度確認してお返事いたします。あなたの不安な気持ちが少しでも軽減して手術日を迎えられるように、サポートさせていただきたいと思っています。
- また、手術後の処置が自宅で不安なく出来るように消毒方法などの指導も行います。自宅での処置が困難な方は、ご相談ください。自宅での処置が困難な方の場合にはクリニックに通院して頂く方もおられますので、不安の強い方は看護師へ声をお掛けください。あなたが安心して手術が行えるように配慮させて頂きたいと思っていますので、何でも相談して下さい。
電話相談について
- 治療後もあなたとご家族が安心していただけるように、担当医が電話相談の対応をさせていただきます。
- クリニックの代表電話番号におかけください。
- 086-250-4112よいひふ 「皮膚腫瘍の治療を受けた○○です」とお伝えください。
- 平日の8時30分~18時30分はまずスタッフが対応し、内容により執刀医へ相談内容が伝えられ、適切な対応をとらせていただきます。休日や夜間は執刀医が対応いたします。
よくある質問とその回答
① 術後の日常生活における注意点をおしえてください。
手術部位にもよりますができるだけ刺激を与えないようにお気遣いください。
たとえば激しい運動、大量の発汗、あるいは旅行はお控えください。
ただし過剰な安静、不安は不要ですから担当医に説明を受けてください。
② 痛みはどれくらい続きますか?
理論上は数週間は痛むはずですが、多くの方には想像を超えたものではないようです。疼痛時の痛み止めを飲まないで済む方が多いです。
③ すぐに再受診した方がいい症状はどのようなものでしょうか?
創が開いたり、出血が止まらなかったり、周囲が腫れて痛くなるといった症状があれば再診をしてください。
④ 創の処置はどのようにするのでしょう?
消毒用スティックとガーゼを購入していただきます。創部を消毒し(軟膏を処方された場合は清潔な軟膏ベラで創にぬって)、その後ガーゼをのせてテープでとめてください。通常は術後3日程度はガーゼ交換を行なっていただきますが、それ以降はとくに消毒はしなくてもかまいません。
⑤ 入浴はいつからしていいのですか?
手術当日は入浴をお控えください。
翌日からシャワーが可能です。創部を濡らしてもかまいません。手に石鹸の泡をとり、なでるように洗ってください。その後消毒、ガーゼ(上述)してください。
⑥ 抜糸はいつするのですか?
頭皮・手掌・足底:2週間前後
顔面:5日~1週間
その他:1週間~10日
⑦ ケロイド予防のテープ固定はいつまでするのですか?
1~3か月はお勧めします。
⑧ 麻酔についておしえてください。
クリニックで行う手術ではキシロカインという麻酔薬を皮膚に注射します。数分で痛みを感じなくなりますが、1回目の注射時に若干痛いです。